
院長:小林お気軽にご相談ください!


突然、激しいめまいとともに吐き気や嘔吐が起きた経験はありませんか。朝、目が覚めて起き上がろうとした瞬間に天井がぐるぐると回り、そのまま吐いてしまった…という方も少なくありません。
そのつらい症状、実は良性発作性頭位めまい症が原因である可能性がとても高いのです。「脳の病気では?」「救急車を呼ぶべき?」と不安になるお気持ち、よくわかります。まずは深呼吸して、この記事をゆっくり読んでみてください。


めまいと嘔吐が重なると、誰でも「何か大きな病気かもしれない」と怖くなりますよね。でも、ほとんどのケースでは脳の異常ではなく、耳の中の小さな「耳石」のズレが原因です。正しく理解することが、回復への第一歩になります
耳の奥には「内耳」と呼ばれる器官があり、そこには炭酸カルシウムでできた「耳石」という小さな粒が存在しています。この耳石が本来あるべき場所からはずれて三半規管に迷い込んでしまうことで、頭を動かすたびに激しいめまいが引き起こされます。医学的には「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」と呼ばれ、めまいの原因としてもっとも多い疾患のひとつです。
「良性」という言葉がついているのは、生命に直接かかわる病気ではないという意味です。しかし、実際に経験された方はご存知のとおり、その症状は決して「軽い」ものではありません。立ち上がれないほどのめまい、吐き気、冷や汗…日常生活が一気に止まってしまうほどの苦しさがあります。
めまいと嘔吐がセットで起きると、「これは脳梗塞かもしれない」と思って救急車を呼びたくなる方もいらっしゃいます。ですが、嘔吐は良性発作性頭位めまい症でもよく見られる症状のひとつです。
内耳のバランス感覚を司る器官が誤った情報を脳に送り続けることで、自律神経が過剰に反応します。その結果、迷走神経が刺激され、吐き気・嘔吐が引き起こされるのです。これは乗り物酔いのメカニズムとよく似ています。めまいが激しいほど嘔吐も強くなる傾向がありますが、これは内耳の混乱が大きいことを示しているだけで、脳の異常を意味するものではありません。
ただし、すべてのめまい+嘔吐が「耳が原因」とは限りません。脳梗塞や脳出血でもめまいは起きます。次のような症状が同時に出ている場合は、迷わず救急車を呼んでください。
これらがない場合、そしてめまいが「頭の向きを変えたとき」に起きる場合は、良性発作性頭位めまい症の可能性が高いです。めまいの持続時間が1分以内で、安静にすると落ち着く場合は特にBPPVが疑われます。
発作が起きたとき、まず何をすればよいのか。パニックになってしまいがちですが、焦りが症状をさらに悪化させることもあります。落ち着いて、次のことを試してみてください。
まず、その場で安全な姿勢をとることが最優先です。ベッドや床に横になり、目を閉じてください。目を開けていると視覚情報が内耳の混乱をさらに助長するため、目を閉じるだけでも症状が和らぐことがあります。
できれば症状が楽に感じる向きに横になってください。どちらの向きが楽かは人によって異なります。無理に起き上がろうとすると嘔吐が誘発されるため、しばらくは静かに横になったままにしましょう。
嘔吐が怖くて呼吸が浅くなりがちですが、意識的に腹式呼吸を行うことで自律神経が落ち着き、吐き気が和らぐことがあります。鼻から4秒かけて吸い、口から8秒かけてゆっくり吐く。これをくり返すだけで、体の緊張がほぐれていきます。
嘔吐が続くと脱水が心配です。めまいが少し落ち着いてきたら、少量ずつ水や経口補水液を飲むようにしましょう。一気に飲むと嘔吐を誘発するため、一口ずつゆっくりが鉄則です。
強い光や騒音、スマートフォンの画面も刺激になります。可能であれば部屋を薄暗くして、静かな環境を作ってあげてください。この刺激を減らすだけで、体の回復がぐっと早まることがあります。
めまいと嘔吐が初めて起きた方は、必ず医療機関を受診することをおすすめします。自己判断で「どうせまた耳石だろう」と思っていたら、実は別の疾患だったというケースもゼロではないからです。
| 状況 | 対応 | 受診先 |
|---|---|---|
| 手足のしびれ・顔面麻痺・激しい頭痛がある | すぐに救急車 | 救急・脳神経外科 |
| 嘔吐が激しく動けない(初めての発作) | 当日中に受診 | 耳鼻咽喉科・内科 |
| 以前もBPPVと診断されており同様の症状 | 翌日でも可 | 耳鼻咽喉科 |
| 症状が落ち着いており数日で改善 | 早めに受診 | 耳鼻咽喉科 |
受診先としては耳鼻咽喉科が第一選択です。「めまい外来」を設けているクリニックであれば、より専門的な検査を受けることができます。
「病院でエプリー法(頭位治療)をやってもらってよくなったのに、また再発した」という方はとても多いです。実はここに、この疾患の本質的な課題が潜んでいます。
耳石が三半規管に入り込むのには、必ず理由があります。カルシウム代謝の乱れ、内耳の血流低下、頸部(首)の緊張による耳への血流障害…こうした「土台」が整っていないと、耳石は何度でも外れてしまいます。
当院に来院される方の中でも、めまいを繰り返す方に共通してみられるのが、自律神経の乱れです。ストレス、睡眠不足、ホルモンバランスの変化(特に更年期の女性に多い)などが自律神経に影響し、内耳の環境を不安定にしてしまいます。


特に40〜60代の女性の方は、更年期に伴う自律神経の揺らぎが内耳に影響しやすく、めまいが繰り返しやすい時期でもあります。「また来た」と感じたとき、それはあなたの体が「そろそろ限界」と信号を出しているサインかもしれません。
意外に思われるかもしれませんが、首(頸椎)のゆがみや筋肉の緊張がめまいに深く関係していることがあります。頸部には内耳に血液を送る椎骨動脈が通っており、首の緊張が強いとこの血流が滞ります。内耳への血流が不足すると、耳石が不安定になりやすく、また平衡感覚の調整機能も低下します。
デスクワークや長時間のスマートフォン使用で首が前に出た「ストレートネック」の方は、特に注意が必要です。
「めまいは耳の病気だから、整体に行っても意味ないのでは?」と思われる方もいらっしゃいます。確かに耳石を直接操作することは整体師にはできません。しかし、めまいが繰り返す根本的な原因にアプローチすることが、整体には得意なのです。
当院では、単に首や肩をほぐすだけではなく、自律神経の状態、頸椎のゆがみ、骨盤バランス、内耳への血流に影響する筋群の状態など、多角的な検査を行ったうえで施術プランを立てています。開院以来20年以上、この考え方を貫いてきた結果、めまいで繰り返し悩んでいた方が「もう半年以上発作が来ていない」とご報告してくださるケースが増えています。
次のような状況に当てはまる方は、ぜひ一度ご相談ください。


整体での施術と並行して、日常生活での工夫もとても重要です。症状を繰り返さないために、いくつかのことを意識してみてください。
BPPVの発作は朝、起き上がる瞬間に起きやすいのが特徴です。目が覚めたら、まずベッドの上でゆっくり横向きになり、端に足を下ろしてから体を起こすようにしましょう。急激な頭の動きが耳石を刺激するため、この「ゆっくり動作」は発作予防に非常に有効です。
内耳リンパ液のバランスを保つためにも、水分補給はとても大切です。1日1.5〜2リットルを目安に、こまめに水を飲む習慣をつけてください。カフェインやアルコールは利尿作用があり、内耳の水分環境を乱しやすいので控えめにしましょう。
自律神経のリズムは睡眠の質と密接に関係しています。できるだけ毎日同じ時間に寝起きし、深い眠りをとることが内耳の安定につながります。枕の高さも重要で、首が自然なカーブを保てる高さに調整することも大切です。
これが一番難しいのですが、精神的なストレスは自律神経を通じて内耳に直接影響を与えます。「めまいが来たらどうしよう」という予期不安もストレスになりますから、「また来ても大丈夫、正しく対処できる」という安心感を持つことが、再発予防の精神的な柱になります。
私がこの仕事を始めて20年以上が経ちます。これまで数多くの方のめまいと向き合ってきた中で、強く感じることがあります。それは「めまいで悩んでいる方は、本当に孤独に苦しんでいる」ということです。
見た目には元気そうに見えるから、周りになかなか理解してもらえない。病院に行っても「異常なし」と言われて途方に暮れる。薬を飲んでも根本的には変わらない気がして、このまま一生付き合っていくしかないのかと感じている…そういうお声をたくさん聞いてきました。


でも、あきらめなくていいと私は思っています。原因が正しく特定され、適切なアプローチができれば、体は必ず変わります。人の体は本来、自分を治そうとする力を持っているのですから。
めまいはあなたの体が出している「助けて」のサインです。一人で抱え込まずに、いつでも気軽にご相談ください。あなたの話を、しっかり聞かせていただきます。

